クラウド会計 SPECIAL REPORT — Vol.382

電子帳簿保存法に会計ソフトはどう対応すべきか|2026年の保存要件整理

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編集部 / biz-trend.works
| 2026.05.24 公開 | 更新:2026.06.01 | 読了 8分
電子帳簿保存法に会計ソフトはどう対応すべきか|2026年の保存要件整理
Photo by BizTrend 編集部 / 2026.05.24

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電子帳簿保存法(電帳法)は、帳簿や書類を電子データで保存する際のルールを定めた法律です。会計ソフトを選ぶうえで、この保存要件にどう対応するかは中堅企業の経理・監査対応に直結します。本記事では、2026年時点の保存要件を3つの区分で整理し、会計ソフトに求められる対応と監査時の留意点をまとめます。要件は改正・運用通達で変わり得るため、最終確認は国税庁の情報や顧問税理士でお願いします。

結論:電帳法は「電子帳簿等保存」「スキャナ保存」「電子取引データ保存」の3区分で考えます。電子取引データは保存が必須で、真実性・可視性・検索の各要件を満たす会計ソフトと運用規程をセットで整えるのが要点です。

電帳法は3つの区分で考える

結論:電帳法は(1)電子帳簿等保存、(2)スキャナ保存、(3)電子取引データ保存の3区分。性質が異なるため、自社がどの区分にどう向き合うかを切り分けるのが出発点です。

電帳法は、(1)電子帳簿等保存、(2)スキャナ保存、(3)電子取引データ保存の3区分に分かれます。それぞれ対応の性質が異なるため、自社がどの区分にどう向き合うかを切り分けることが出発点です。(1)と(2)は任意の取り扱いがある一方、(3)はデータのまま保存することが求められる、という性質の違いを最初に押さえておくと、検討が進めやすくなります。

対象(目安) 対応の性質
(1)電子帳簿等保存 会計ソフト等で電子的に作成した帳簿・書類 任意。一定要件で優良な電子帳簿の扱いも
(2)スキャナ保存 紙で受け取った請求書・領収書をスキャン 任意。真実性・検索機能の確保が必要
(3)電子取引データ保存 メール添付・ダウンロード等で授受した取引データ 電子データのまま保存が求められる

属性別おすすめ:どの区分から着手するか

  • まず最低限の対応を固めたい企業:義務である(3)電子取引データ保存から着手。メール添付やWeb明細の保存フローを最初に整えます。
  • 紙の請求書・領収書が多い企業:(2)スキャナ保存の活用で保管スペースと検索性を改善。真実性・検索要件の確保が前提です。
  • 帳簿の電子化を進めたい企業:(1)電子帳簿等保存で、一定要件を満たす優良な電子帳簿の取り扱いも視野に入れます。

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電子取引データ保存の要件

結論:電子取引データの保存は「真実性」と「可視性」の2要件を満たす必要があります。タイムスタンプや訂正・削除履歴が残る会計ソフトを使うと運用負荷を抑えやすくなります。

電子取引データの保存では、「真実性の要件」と「可視性の要件」の2つを満たす必要があります。真実性はデータが改ざんされていないことを担保する仕組み(タイムスタンプの付与や訂正・削除の記録が残るシステムの利用、事務処理規程の整備など)で対応します。可視性は、保存したデータを必要なときに確認・検索できる状態を指します。

会計ソフトを選ぶ際は、これらの要件をシステム側でどこまで満たせるかを確認します。タイムスタンプ機能や、訂正・削除履歴が残る仕様を備えた製品なら、運用負荷を抑えやすくなります。逆に、システムで担保できない部分は事務処理規程など運用面で補う必要があるため、システムと規程の役割分担を最初に決めておくと、対応の抜けを防げます。

電子取引データ保存の2要件 真実性の要件 ‣ タイムスタンプの付与 ‣ 訂正・削除の履歴が残る ‣ 事務処理規程の整備 改ざんされていないことを担保 可視性の要件 ‣ 必要時に確認できる ‣ 取引年月日で検索できる ‣ 金額・取引先で検索できる 見られる・探せる状態を維持

検索要件と小規模事業者の取り扱い

結論:検索要件は原則「取引年月日・金額・取引先」での検索と組み合わせ検索が必要。中堅企業は小規模事業者向け緩和の対象外となりやすく、検索要件への対応を前提に設計するのが安全です。

検索要件は、原則として「取引年月日・取引金額・取引先」で検索できること、これらを組み合わせて検索できることが求められます。スキャナ保存でも同様の検索機能の確保が要件とされています。

一方で、基準期間の売上高が一定額以下(目安として1,000万円以下とされてきた水準)などの小規模事業者については、税務職員のダウンロードの求めに応じられる場合に検索要件の全てが不要とされる緩和があります。中堅企業はこの緩和の対象外となるケースが多いため、検索要件への対応を前提に設計しておくのが安全です。具体的な金額基準や適用条件は変わり得るため、要確認です。

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会計ソフト選定と監査対応の留意点

結論:監査・税務調査を見据えると、会計ソフトには検索性・真実性・権限とログ・規程整備の4点が求められます。システムで担保できない部分は運用規程で補います。

監査や税務調査を見据えると、会計ソフトには次の対応が求められます。

  • 検索性:取引年月日・金額・取引先での検索、組み合わせ検索ができること。
  • 真実性:タイムスタンプ、または訂正・削除履歴が残る仕組み。
  • 権限・ログ:誰がいつ修正したかを追える操作ログ。
  • 規程整備:システムだけでなく、事務処理規程など運用面の文書化。

会計ソフトの選定全体を体系的に進めたい場合は、別記事の会計ソフト選定チェックリスト15項目に法令対応を1領域として組み込むと、電帳法対応を含めた抜けのない比較ができます。導入後のつまずきを避ける観点はクラウド会計導入の失敗7選もあわせてご覧ください。

編集独立性の観点で付記すると、対応手段は特定の会計ソフトに限りません。当サイトと提携関係のない選択肢として、文書管理システムや、ベンダー提供の電帳法対応オプションを組み合わせる方法もあります。自社の取引量・既存システムに照らして公平に検討してください。

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電帳法対応を進める実務ステップ

結論:受領フローの棚卸し・保存方法の決定・会計ソフトの要件確認・事務処理規程の整備の順で進めると、システムと運用の両面で抜けなく対応できます。

実務では、まず自社の受領フロー(メール添付・Web明細・EDI・紙の請求書など)を棚卸しし、どの経路がどの区分にあたるかを整理します。次に、各経路のデータをどう保存するか(保存先・形式・タイムスタンプの要否)を決め、会計ソフトがその要件をどこまで満たせるかを確認します。最後に、システムで担保できない部分を事務処理規程で補い、誰がいつ何をするかを文書化します。この4ステップを踏むと、システムと運用の両面で要件の抜けを防ぎやすくなります

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事業タイプ別・あなたが優先すべき電帳法対応(モデルケース)

電帳法は3つの区分で考えますが、自社の取引形態や規模によって最初に着手すべき点は変わります。自社に近いタイプを起点に、優先順位を確認してください。

タイプA:取引先とのやり取りをメールやWebで受領している(請求書をPDFで受け取る機会が多い)

おすすめは電子取引データ保存の要件を最優先で整えることです。電子で受け取った書類は電子のまま保存する義務があるため、保存場所と検索体制の整備が先決です。本記事の該当節から着手すると漏れを防げます。

タイプB:従業員数が少なく対応リソースが限られる(小規模事業者に近い)

おすすめは検索要件と小規模事業者の取り扱いを確認することです。一定の条件で検索要件が緩和される場合があるため、自社が該当するかを先に把握すると、過剰な作業を避けられます。

タイプC:これから会計ソフトを選ぶ・乗り換える

おすすめは会計ソフト選定と監査対応の留意点です。電帳法の保存要件を製品側でどこまで満たせるかを選定時に確認しておくと、後からの運用負担を減らせます。

タイプD:対応を後回しにしてきて何から手をつけるか迷っている

おすすめは対応を進める実務ステップから逆算することです。本記事末尾の実務ステップに沿って現状の保存状況を棚卸しすると、着手すべき順序が明確になります。

どのタイプでも、まず「自社がどの区分にどれだけ該当するか」を棚卸しすることが出発点になります。複数のタイプに当てはまる場合は、義務の重いものから順に整備してください。

まとめ

電帳法対応は、3区分の切り分けと、電子取引データの「真実性・可視性」、そして検索要件への対応が軸になります。中堅企業は小規模事業者向けの緩和の対象外となりやすいため、検索・真実性を満たすソフトと運用規程をセットで整えるのが現実的です。要件・金額基準・運用通達は改正で変わり得るため、最新情報は国税庁の公表内容や顧問税理士で事前に確認してください。

よくある質問

Q. 電子帳簿保存法はどう整理して考えればよいですか。

A. 「電子帳簿等保存」「スキャナ保存」「電子取引データ保存」の3区分で考えます。(1)と(2)は任意の取り扱いがある一方、(3)の電子取引データはデータのまま保存が求められる点を最初に押さえると検討が進めやすくなります。

Q. 電子取引データの保存で満たすべき要件は何ですか。

A. 「真実性」と「可視性」の2要件です。真実性はタイムスタンプや訂正・削除の履歴、事務処理規程で、可視性は取引年月日・金額・取引先での検索と組み合わせ検索で対応します。

Q. 中堅企業は検索要件の緩和を使えますか。

A. 小規模事業者向けの検索要件の緩和は、基準期間の売上高が一定額以下などの要件があり、中堅企業は対象外となるケースが多いとされます。検索要件への対応を前提に設計するのが安全です。金額基準や適用条件は変わり得るため、国税庁の最新情報や顧問税理士で要確認です。

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