M&A・事業承継 SPECIAL REPORT — Vol.1635

経営者のための事業承継の基礎|親族内と第三者の選択肢を比較整理

【PR】本記事はアフィリエイトプログラムを利用しています。制度・要件は改正で変わるため、適用にあたっては最新の公式情報および税理士・弁護士などの専門家にご確認ください。 「会社をどう引き継ぐか」は、業績や成長戦略以上に答 […]

編集部 / biz-trend編集部(株式会社弥)
| 2026.06.30 公開 | 更新:2026.07.27 | 読了 8分
経営者のための事業承継の基礎|親族内と第三者の選択肢を比較整理
Photo by BizTrend 編集部 / 2026.06.30

【PR】本記事はアフィリエイトプログラムを利用しています。制度・要件は改正で変わるため、適用にあたっては最新の公式情報および税理士・弁護士などの専門家にご確認ください。

「会社をどう引き継ぐか」は、業績や成長戦略以上に答えの出しにくい経営課題です。後継者不在率は依然として高く、半数を超える企業が後継者を決めかねているとされます。事業承継は、経営権・資産・人や信用といった要素を次の世代へ引き継ぐ取り組みであり、選ぶ手法によって税負担も時間軸も大きく変わります。本記事では、事業承継の基礎として、親族内承継と第三者承継(M&A)の選択肢を比較しながら整理します。

結論:事業承継は、後継者の属性で「親族内承継」「親族外承継(役員・従業員)」「第三者承継(M&A)」の3つに大別されます。かつて9割を超えた親族内承継は近年3〜4割程度まで下がり、後継者不在を背景に第三者承継(M&A)が選択肢として広がっています。判断の起点は、(1)親族や社内に承継の意思と適性を持つ後継者がいるか、(2)株式や個人保証をどう移すか、(3)事業承継税制などの支援策をどう使うか、です。いずれの手法でも、事業を第三者に説明できる状態に「見える化」しておくことが第一歩になります。

事業承継の3つの手法:何を、誰に引き継ぐのか

事業承継で引き継ぐのは、株式や事業用資産といった「資産」だけではありません。経営権、取引先や金融機関との信用、従業員や技術・ノウハウといった「目に見えない資産」も含まれます。これらをまとめて次の担い手へ移すのが事業承継です。手法は後継者が誰かによって、親族内承継、親族外承継(役員・従業員)、第三者承継(M&A)に分かれます。

かつては子や親族が継ぐ親族内承継が大半でしたが、価値観の多様化や事業環境の変化で、親族が継がない・継げないケースが増えました。その結果、社内の役員・従業員への承継や、外部の企業へ引き継ぐM&Aが現実的な選択肢として定着しつつあります。資金面の準備とあわせて考えるなら事業資金の調達方法の選び方もあわせてご覧ください。

親族内承継と第三者承継を比較する

親族内承継と第三者承継(M&A)は、それぞれ性格が大きく異なります。親族内承継は、関係者の理解を得やすく、経営理念や社風を引き継ぎやすい一方、後継者の育成に時間がかかり、株式の集約や個人保証の引き継ぎに課題が残りがちです。第三者承継(M&A)は、後継者がいなくても事業を存続でき、創業者が対価を得て引退できる反面、相手探しに時間がかかり、社風や雇用の継続が交渉次第になります。

観点親族内承継第三者承継(M&A)
後継者子・親族など外部の企業・個人
理念・社風の継続引き継ぎやすい交渉と統合の進め方次第
準備期間育成に長期を要する傾向相手探し・交渉に時間がかかる
創業者の対価得にくい場合がある株式譲渡などで対価を得やすい
個人保証後継者への引き継ぎが課題譲受側との交渉で扱いが決まる

どちらが優れているという話ではなく、自社の状況と経営者の希望によって適性が変わります。実務では「親族内承継を目指しつつ、並行してM&Aの可能性も探る」という柔軟な進め方が、結果として最善の判断につながることもあります。承継後の経営を担う人材の確保という観点も欠かせません。

個人保証という見えにくい壁:中堅・中小企業の事業承継では、経営者個人が会社の借入に付けている連帯保証(個人保証)の扱いが大きな論点になります。後継者がこの保証を引き継ぐことに抵抗を感じ、承継が進まない例は少なくありません。近年は経営者保証に関するガイドラインの活用で、一定要件のもと保証を外す交渉が広がっています。承継の検討と並行して、金融機関と保証の扱いを話し合うことが要点です。

後継者は誰か 親族内承継 親族外承継(役員・従業員) 第三者承継(M&A) 後継者の有無と適性で手法が分かれる(目安)
事業承継の手法の分かれ方(一般的な整理をもとにした目安)
QuQuMo Online(オンラインファクタリング)

支援策の活用:事業承継税制と相談窓口

事業承継には税負担という現実的な壁があります。株式を後継者へ移す際、相続税や贈与税が重くのしかかることがあるためです。これに対し、一定要件のもとで自社株式に係る相続税・贈与税の納税を猶予する「事業承継税制」があります。特例措置では納税猶予の割合や対象株数で手厚い内容が用意されており、適用には特例承継計画の提出など期限のある手続きが伴います。期限や要件は改正で動くため、活用を検討する場合は早めに公式情報を確認してください。

また、各都道府県には「事業承継・引継ぎ支援センター」が設置され、専門家による相談や、後継者不在企業と譲受希望企業のマッチング支援を行っています。何から始めればよいか分からない段階でも、こうした公的窓口を入口にできます。資金繰りの備えとあわせて資金繰り表の作り方を整えておくと、承継後の経営判断にも役立ちます。

進め方の基本:見える化と早期着手

どの手法を選ぶにせよ、共通する第一歩は事業の「見える化」です。財務状況、事業の強み、取引関係、許認可、知的財産などを棚卸しし、第三者に説明できる状態に整理しておくことが、承継の出発点になります。見える化が進んでいれば、親族への引き継ぎでも、M&Aの相手探しでも、話がスムーズに進みます。

もう一つの要点は早期着手です。後継者の育成にも、M&Aの相手探しにも、時間がかかります。経営者が元気なうちに準備を始めれば、複数の選択肢を並行して検討でき、急な健康問題などで判断を迫られるリスクを減らせます。承継は一日では終わらないからこそ、数年単位の計画として捉えることが大切です。

後継者の状況別・あなたに合う承継の進め方(モデルケース)

同じ「事業承継」でも、後継者の有無や事業の状態によって、選ぶべき手法と優先する準備は変わります。自社に近いタイプを起点に、自社の承継計画へ当てはめてみてください。

タイプA:子や親族に継ぐ意思があり後継者候補がいる(例:子が役員として数年勤めている)

おすすめは親族内承継を軸にした早期の見える化です。株式の分散や個人保証の引き継ぎが論点になりやすいため、自社株評価と相続・贈与の試算を早めに行います。後継者教育の期間を確保できるほど移行が滑らかになるため、5〜10年単位の計画で備えると現実的です。

タイプB:社内に有望な人材はいるが親族に後継者がいない(例:番頭格の役員が実務を担っている)

おすすめは従業員承継(社内承継・MBO)の検討です。事業への理解が深い人材へ引き継げる一方、株式の買い取り資金や個人保証の引き継ぎが課題になります。資金調達の枠組みと統治のあり方を専門家と設計したうえで進めるのが安全です。

タイプC:親族にも社内にも後継者がいない(例:相談できる候補が見当たらない)

おすすめは第三者承継(M&A)の選択肢の比較検討です。従業員の雇用や取引関係を維持したまま、外部に引き継ぐ道を探れます。相手探しには時間がかかるため、会社の磨き込みと並行して早めに動き出すほど選択肢が広がります。

タイプD:まず何から始めればよいか分からない(例:引退時期も手法も決めかねている)

おすすめは公的な事業承継・引継ぎ支援センターへの相談です。中立の立場で現状の棚卸しと選択肢の整理を手伝ってもらえます。自己判断で手法を絞り込む前に、第三者の視点で全体像を描くと、その後の検討が進めやすくなります。

複数のタイプに当てはまる場合は、事業や局面ごとに手法を組み合わせるのが現実的です。いずれの場合も、早期の見える化と専門家・公的窓口の活用が、選択肢を広げる起点になります。

まとめ:選択肢を並べ、早めに見える化する

事業承継は、親族内承継・親族外承継・第三者承継(M&A)という選択肢を、自社の状況と経営者の希望に照らして比較することから始まります。後継者不在が広がる今、M&Aを含めて選択肢を並行検討する柔軟さが現実的です。事業の見える化と早期着手を土台に、事業承継税制や公的相談窓口を活用しながら、税理士・弁護士・M&Aの専門家と進めることをおすすめします。

よくある質問

Q. 事業承継にはどんな手法がありますか

A. 後継者の属性で「親族内承継」「親族外承継(役員・従業員)」「第三者承継(M&A)」の3つに大別されます。かつて大半だった親族内承継は近年3〜4割程度まで下がり、後継者不在を背景に第三者承継(M&A)が選択肢として広がっています。

Q. 事業承継税制は使えますか

A. 一定要件のもとで自社株式に係る相続税・贈与税の納税を猶予する事業承継税制があり、特例措置では手厚い内容が用意されています。特例承継計画の提出など期限のある手続きが伴い、要件は改正で動くため、活用を検討する場合は早めに最新の公式情報をご確認ください。

Q. 何から始めればよいか分かりません

A. まずは事業の見える化(財務・強み・取引関係・許認可・知的財産の棚卸し)から始めるのが第一歩です。各都道府県の事業承継・引継ぎ支援センターを入口に、税理士・弁護士・M&Aの専門家へ相談する進め方が現実的です。

次に読む

承継の方向性が決まったら、第三者承継の実務や自社の企業価値の見方もあわせて確認すると効果的です。目的に近いものから読み進めてみてください。

本記事は情報提供を目的とした一般的な解説であり、特定の承継手法を推奨するものではありません。事業承継税制の要件・納税猶予割合・適用期限や経営者保証の扱いは改正・個別事情で変わります。実際の手続きや税務・法務の判断は、自社の状況と最新の公式情報に基づき、税理士・弁護士・M&Aの専門家にご相談ください。

本記事は2026年7月時点の情報に基づいています。本記事は biz-trend編集部(株式会社弥)が編集しています。制度・料金・金融関連の数値は変動する可能性があるため、実行判断の前に一次ソースをご確認ください。編集方針・広告開示ポリシーはプライバシーポリシーをご参照ください。

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