会議1時間あたり議事録作成に30分かける営業マネージャーが10名いれば、月間50時間の管理工数が発生する。AI議事録SaaSの選定を間違えると、月額数千円のコスト以上に「使われずに放置される」機会損失が経営課題になる。
2025年11月、Otterが日本語対応を正式開始し(出典:Otter公式ニュース、https://otter.ai/pricing)、Notta・tl;dv・Rimo Voiceとの4強構図が成立した。経営判断の前提が変わったタイミングだ。
本稿では、料金・対象規模・連携機能を整理し、年商規模と会議頻度別に「自社で選ぶべきAI議事録」が3分で決まる判断軸を提示する。
AI議事録SaaS 主要4社の月額(2026年5月時点)
スペック・料金・特徴を一目で比較
4社の料金体系・上限・対象規模を一覧化した。同じ「AI議事録」でも、課金単位(ユーザー単位か全体定額か)・上限ロジック(分単位か無制限か)・日本語対応の成熟度で性格が大きく分かれる。
| 項目 | Notta | tl;dv | Otter | Rimo |
| 料金 | 1,980円/月 | $29/seat | $16.99/月 | 1,650円/月 |
| 上限 | 1,800分/月 | 無制限 | 無制限 | 従量 |
| 日本語 | 強い | 対応 | 2025/11対応 | 強い |
| 対象 | 個人〜中小 | 営業組織 | 外資・英語 | 士業・取材 |
Notta Premiumは月額1,980円(税込)で月1,800分・1回あたり90分上限という日本市場向けの料金設計(出典:https://www.notta.ai/en/pricing)。tl;dv Proは1seatあたり月額$29(年払い$18/seat)で文字起こしが無制限になる(出典:https://tldv.io/app/pricing/)、営業組織向けの設計だ。
4社の経営者視点マトリクス
出典:各社公式料金ページ(2026年5月時点)
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うちは営業10名で週20本の商談。Notta上限の1,800分で足りるか不安だ。
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Notta・Rimo Voiceを選ぶべき経営者像
日本語の精度を最優先する経営者は、Notta PremiumかRimo Voiceの2択になる。NottaはZoom・Google Meet・Teams連携が標準で、月額1,980円(税込)で月1,800分の文字起こしと1回90分の録音上限を持つ(出典:https://www.notta.ai/en/pricing)。中堅企業の営業部門で1日1〜2本の商談記録を取る運用なら、1,800分は十分なバッファになる。
Rimo Voiceは月額1,650円(税込)、年契約なら月1,100円まで下がる(出典:https://rimo.app/about/voice/plans)。日本語特化で士業・取材・社内会議向けに強く、課金は従量制ベース。「会議は月に5〜10本程度、長尺の取材や対談が中心」というプロフェッショナルサービス業の経営者には、Rimoが定石だ。
[point title=”経営者の判断軸”]
日本語の聞き取り精度 × 月間会議時間。100時間以下ならRimo、100-1,800分ならNotta、超過するならtl;dv/Otterへ切り替え。
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tl;dv・Otterを選ぶべき経営者像
外資クライアントとの英語会議が中心、または営業組織でseat単位での横展開を急ぐ経営者は、tl;dvかOtterが本命だ。tl;dv Proは1seatあたり月額$29(年払いで$18/seat)で文字起こしが無制限(出典:https://tldv.io/app/pricing/)。10seat導入でも年間$2,160(年払い)で済むため、商談録画の社内共有・コーチング活用を組織的に回したいフェーズに適合する。
Otter Proは月額$16.99(年払いで$8.33/月)と4社中もっとも個人単価が低い設計(出典:https://otter.ai/pricing)。2025年11月から日本語対応を正式開始しており、英語と日本語を行き来する経営者・グローバル子会社を持つ法人にとって、現実的な選択肢になった。
公開レビュー・利用実態の分析
Notta公式の料金ページ(出典:https://www.notta.ai/en/pricing)によれば、Premiumプランは月1,800分・1回90分という明確な上限を持つ。これは経営観点では「営業10名×週5本×30分=月1,000分」程度の運用なら十分、ただし「全社会議1時間×週2回」を録音すると月480分が固定費として消費されるため、上限到達リスクは要試算ということになる。
tl;dvの公式仕様(出典:https://tldv.io/app/pricing/)では年払い時点で1seat$18という単価で、Zoom/Meet/Teams録画の無制限文字起こしが利用可能。営業組織における録画資産の活用を前提とすると、コーチング工数の削減が直接的に効いてくる。
Otter公式(出典:https://otter.ai/pricing)では2025年11月に日本語対応が開始されたばかりで、機能の成熟度は今後の継続観察が必要。一方Rimo Voice公式(出典:https://rimo.app/about/voice/plans)は日本市場での蓄積が長く、士業・メディア業での導入実績が公開されている。
経営判断としての結論
経営者として最初に問うべきは「月間の録音時間は何分か」「英語会議の比率は何%か」「seat数で課金しても回収できる組織か」の3点だ。年商10億円未満・国内会議中心・seat10名以下なら、Notta Premium 1,980円/月で十分にスタートできる。
年商10〜30億円・営業組織5seat以上・録画コーチングを回したいフェーズならtl;dv Pro($18-29/seat)が定石。グローバル子会社や英語会議が30%以上を占めるならOtter Pro($16.99/月)。会議は少ないが長尺の取材・対談中心ならRimo Voice 1,650円/月が最適解になる。
AI議事録SaaS 選定フロー
月間録音時間と英語比率で2-3分岐に絞った決定木
AI議事録導入時の経費管理:見落とされがちな決済の罠
4社のうちtl;dv・Otterは米ドル建て決済が標準。月額$16.99-$29を10seat規模で全員導入すると、月額3万円超・年間36万円超の海外SaaS決済が発生する(各社公式料金 2026年5月時点に基づく試算)。これが為替手数料2-3%上乗せで年間1万円超のロスとなり、決済の一元管理と経費精算の自動連携が経営課題になる。
具体的には、海外SaaS決済に強い法人カードと、AI議事録のサブスク請求書を自動取り込みできる経費精算SaaS、そして月次の費用按分を会計ソフトに連携する設計が定石だ。クラウド会計ソフトを freee会計とマネーフォワード会計の比較記事で検討した上で、経費精算は 経費精算SaaS 4社比較から、決済カードは スタートアップ向け法人カード比較を参考に選定したい。
[chat face=”run” name=”経営者”]
AI議事録を10seat入れる前に、決済と経費精算の動線を先に設計しておくべきだったか…
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AI議事録SaaSの料金は月数千円でも、組織導入後の経費処理・税務処理コストが本体価格を上回るケースは珍しくない。先に決済・経費・会計の3点セットを整えた上でAI議事録を導入すれば、運用後の管理工数を最小化できる。
国内中心・10名規模ならNotta Premium 1,980円/月、営業組織でseat展開ならtl;dv Pro、英語会議比率が高いならOtter Pro、長尺取材中心ならRimo Voice。判断軸は「月間録音時間」「英語比率」「seat数」の3点に集約される。導入前に経費精算と決済の動線を整えれば、運用負荷は半減する。
