SaaS・DX SPECIAL REPORT — Vol.157

ゼロトラスト SaaS 3 社比較 2026|経営者視点

ゼロトラスト SaaS の選び方を経営者視点で整理。HENNGE One・Cloudflare Zero Trust・Okta の料金と適合層を 2026 年最新公式情報で比較。

編集部 / biz-trend.works
| 2026.05.16 公開 | 読了 9分
ゼロトラスト SaaS 3 社比較 2026|経営者視点
Photo by BizTrend 編集部 / 2026.05.16

SaaS を 20-30 種類抱える中堅企業では、退職者のアカウント残存や ID 横断管理の負荷が経営リスクになる。情報システム担当者 1-2 名で 100 名規模を支える体制では、SSO/IDaaS の選定ミスが年間数百万円の運用コスト差につながる。

2026 年現在、Cloudflare Zero Trust は 50 ユーザーまで無料、Okta は Starter Suite が $6/user/月、HENNGE One は国内 SaaS 連携で独自ポジションを確立(出典:Cloudflare 公式Okta 公式、2026 年 5 月時点)。価格構造と機能設計が3社で大きく異なる。

さらに 2026 年は SaaS ID 統合の本格化フェーズに入った。Cloudflare は Vectrix 買収由来の CASB を Zero Trust に統合し、Okta は Starter Suite($6/user)から Essentials Suite($17/user)まで SSO・MFA・Lifecycle 自動化を階層的に揃え、HENNGE One は国内 SaaS 連携で差別化と、3 社それぞれが「アクセス制御 + ID + データ保護」を 1 つの基盤に束ねる動きを加速している(出典:Cloudflare 公式Okta 公式、2026 年 5 月時点)。経営者にとっては「複数 SaaS を 1 つの統合基盤に寄せる」契機の年だ。

本稿では、年商規模・SaaS 利用本数・社員数別に 3 社の判断軸 を整理。読み終える 4 分で、自社が選ぶべきゼロトラスト基盤の方向性が定まる。

SaaS セキュリティ市場の基準値(2026 年 5 月時点)

50
Cloudflare Zero Trust 無料ユーザー上限

出典:Cloudflare 公式料金ページ 2026/05

$6
Okta Starter Suite 1 ユーザー月額

出典:Okta 公式 Pricing 2026/05

$17
Okta Essentials Suite 1 ユーザー月額

出典:Okta 公式 Pricing 2026/05

H2-1:スペック・料金・特徴を一目で比較

3 社の料金体系と適合層を俯瞰する。HENNGE One は公式料金が個別問い合わせ制(自治体向けで月額 300 円〜の参考記載あり、出典:HENNGE One 公式料金ページ、2026 年 5 月時点)である一方、Cloudflare と Okta は完全公開の従量課金制を採る。

項目HENNGE OneCloudflareOkta
料金個別見積
(自治体300円〜)
50名無料
以降$7/月
$6〜$17
/user/月
強み国内SaaS
連携の厚さ
ネットワーク
一体運用
SaaS連携
世界最多
対象国内中堅
大企業
スタート
アップ〜
グローバル
企業
弱み料金不
透明
国内SaaS
連携薄
UI英語
主体
出典:各社公式情報 2026 年 5 月時点。HENNGE One は 公式料金ページ、Cloudflare は 公式 Plans ページ、Okta は 公式 Pricing による。

料金の透明性で見ると Cloudflare と Okta は即比較可能だが、HENNGE One は導入規模により大きく変動するため、見積取得が前提となる。経営者として最初に判断すべきは「自社の SaaS 構成が国内偏重か、海外/混在か」である。

[point title=”経営者の最初の判断軸”]
SaaS 構成が Microsoft 365 + 国内 SaaS 中心なら HENNGE One、Google Workspace + 海外 SaaS 中心なら Okta、50 名以下 + 内製志向なら Cloudflare Zero Trust が起点。
[/point]

H2-2:Cloudflare Zero Trust を選ぶべき経営者像

Cloudflare Zero Trust は 50 ユーザーまで無料、それ以降は Pay-as-you-go で $7/user/月(出典:Cloudflare Zero Trust Plans、2026 年 5 月時点)。スタートアップ〜社員 50 名以下の中小企業にとって、初期コストゼロでアクセス制御・WARP・ブラウザ分離まで揃う構造は経営判断としても合理的だ。

想定シナリオは「創業 3 年、社員 30 名、年商 5 億円、リモートワーク中心、Google Workspace 利用」というプロファイル。Cloudflare のグローバル CDN/エッジネットワークを既にフロントで使っているなら、Zero Trust への統合運用は構造的に有利になる。

[chat face=”run” name=”経営者”]
うちは30名規模で、Google Workspace と Slack 中心。50名超えるまで無料というのは魅力的だけど、本当に運用に耐えるの?
[/chat]

運用負荷は「情報システム担当者がネットワーク知識を持つか」で大きく変わる。Cloudflare はネットワーク事業者由来の UI/UX で、DNS・WAF・Access が一体化している。情シス担当が SaaS 中心のキャリアだと学習コストは中〜高となる。

H2-3:Okta を選ぶべき経営者像

Okta は Starter Suite $6/user/月、Essentials Suite $17/user/月(出典:Okta Pricing、2026 年 5 月時点)。SaaS 連携数の多さで世界トップクラスを公式に標榜しており、海外 SaaS を 30 種類以上利用するグローバル中堅以上に向く。

想定シナリオは「社員 150 名、年商 30 億円、海外拠点 2 つ、Salesforce・Workday・Slack・Zoom・GitHub 等を全社利用」というケース。100 名で Starter Suite を選択すると月額 $600、年間で約 100 万円規模(円換算は為替変動あり、2026 年 5 月時点の各社公式料金に基づく試算)。Essentials Suite なら年間約 300 万円規模で、Lifecycle Management(入退社自動化)まで含まれる。

H2-4:公開レビュー・利用実態の分析

HENNGE One は国内導入実績を公式サイトで多数掲載(出典:HENNGE 公式、2026 年 5 月時点)。Microsoft 365 統合運用と国内 SaaS 連携で支持を集める。料金が個別問い合わせ制のため、検討段階で 2-4 週間の見積プロセスを織り込む必要がある。

Cloudflare Zero Trust の利用実態は、無料枠(50 ユーザー)を試験運用で活用する企業が中堅層でも多い構造が観察される(出典:Cloudflare Plans、2026 年 5 月時点)。本格運用に進む際は WARP クライアント配布・SCIM 連携の検証が論点。

Okta は SaaS 連携テンプレート(Okta Integration Network)の網羅性が選定理由として挙がる。Essentials Suite の $17/user/月で Lifecycle Management・MFA・Adaptive MFA まで含む構成は、グローバル中堅以上の標準解として観察される(出典:Okta Pricing、2026 年 5 月時点)。

3 社の賛否を経営者視点で対比

導入容易性で選ぶなら

  • Cloudflare:無料枠で即試行可
  • HENNGE:国内サポートが手厚い

機能網羅性で選ぶなら

  • Okta:SaaS 連携テンプレ最多
  • Essentials Suite で Lifecycle まで包含

出典:各社公式情報 2026 年 5 月時点(Cloudflare/Okta/HENNGE 公式)による整理。

H2-5:経営判断としての結論

ゼロトラスト SaaS 選定フロー

Q1:社員 50 名以下?
YES → Cloudflare Zero Trust(無料枠)
NO → Q2 へ
Q2:海外 SaaS 中心?
YES → Okta(Essentials Suite)
NO → HENNGE One(個別見積)

3 社の料金構造(2026 年 5 月時点・各社公式情報による)を経営判断軸で整理した決定木。

経営者として最終的に判断すべきは、「セキュリティ投資の年間総額が、想定インシデント被害額の何分の 1 か」である。100 名規模で Okta Essentials Suite を選んだ場合、年間約 300 万円規模(円換算は為替変動あり、2026 年 5 月時点の試算)。情報漏洩 1 件の平均対応コストが数千万円規模になる現実と比べれば、TCO の妥当性は明確だ。

H2-6:SaaS セキュリティ導入時の経費管理:見落とされがちな「決済の罠」

3 社のうち Cloudflare・Okta は USD 建て、HENNGE One は JPY 建てが基本。100 名規模で Okta Starter Suite($6/user/月)を契約すると月額 $600、為替手数料 2-3% が乗れば年間 6-9 万円の追加コスト(2026 年 5 月時点の各社公式料金に基づく試算)。海外 SaaS 決済に強い法人カードと経費精算 SaaS の一体運用が経営合理性の鍵となる。

具体的には、SaaS 決済の集約に強い法人カード(UPSIDER 等)と、明細自動連携の経費精算 SaaS(マネーフォワードクラウド経費・楽楽精算等)、さらに仕訳まで含むクラウド会計(freee 会計・マネーフォワード会計)を組み合わせる設計が定石だ。

関連内部リンク:

SaaS セキュリティ基盤の選定と、その決済・経費管理基盤の選定は、本来は同じテーブルで議論すべき経営判断だ。情シス・経理・経営者の3者が同席する見直しサイクルを四半期に 1 度設けることで、不要な為替手数料や経費精算工数を削減できる。アフィリンク:UPSIDER / マネーフォワードクラウド経費 / freee 会計。

ゼロトラスト SaaS は「50 名以下なら Cloudflare、海外 SaaS 中心なら Okta、国内 SaaS 中心なら HENNGE One」が起点(2026 年 5 月時点の各社公式情報による)。経営者として次に取るべき一歩は、SaaS 利用本数の棚卸しと、決済・経費管理基盤の同時見直しだ。

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