人事・労務 SPECIAL REPORT — Vol.1515

経営者が押さえる労働時間管理の基礎|2026年の上限規制と実務対応

【PR】本記事はアフィリエイトプログラムを利用しています。制度・要件は法改正で変わるため、最新の公式情報・専門家にご確認ください。 労働時間管理は、人事部門だけの仕事ではありません。長時間労働は離職や健康問題を通じて生産 […]

編集部 / biz-trend編集部(株式会社弥)
| 2026.06.30 公開 | 更新:2026.07.27 | 読了 7分
経営者が押さえる労働時間管理の基礎|2026年の上限規制と実務対応
Photo by BizTrend 編集部 / 2026.06.30

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労働時間管理は、人事部門だけの仕事ではありません。長時間労働は離職や健康問題を通じて生産性を直接むしばみ、上限規制の違反は企業の信用と採用力を損ないます。経営者がこの領域の基礎を理解していないと、現場の管理職に丸投げした結果、知らぬ間に法令違反のリスクを抱えることになります。本記事では、中堅企業の経営者が押さえておくべき労働時間管理の仕組みと、2026年時点の上限規制への実務対応を解説します。

結論:労働時間管理の核心は「法定労働時間(原則1日8時間・週40時間)を超える時間外労働には36協定が必要で、その時間にも上限がある」という枠組みを理解することです。原則は月45時間・年360時間、特別条項を使う場合でも単月100時間未満・複数月平均80時間以下という歯止めがかかります。経営者は、これらを現場任せにせず、超過の予兆を可視化する仕組みを整えることが責務です。

労働時間管理の基本構造

日本の労働時間制度は、法定労働時間という基準線の上に成り立っています。原則として1日8時間・週40時間を超えて働かせるには、労使で36協定を結び、労働基準監督署に届け出る必要があります。これを欠いたまま時間外労働をさせると、それ自体が法令違反となります。中堅企業では事業拡大に伴って36協定の更新や事業場単位の管理が漏れがちで、まずはこの土台をしっかり固めることが出発点です。

上限規制は大企業で2019年4月、中小企業で2020年4月から適用され、2026年現在は一部例外を除くすべての企業が対象です。「うちは中小だから関係ない」という認識は通用しません

2026年時点の上限規制の全体像(目安)

下表は時間外労働の上限を整理した目安です。実際の運用は協定内容や業種特例で異なるため、自社の状況は専門家にご確認ください。

上限の目安補足
原則(36協定)月45時間・年360時間限度時間の範囲内で協定
特別条項あり(年)年720時間以内臨時的な特別の事情がある場合
特別条項あり(単月)休日労働含め100時間未満例外なく適用
複数月平均2〜6か月平均80時間以下休日労働を含む
月60時間超の割増割増率50%大企業・中小企業とも対象

特に注意したいのが「複数月平均80時間以下」です。ある月だけ抑えても、前後の月との平均で超えると違反になります。単月の数字だけを見て安心するのは危険で、移動平均で常時監視する発想が必要です。

実務上の急所:上限規制は「時間外労働」と「休日労働」の合算で判断する場面が多く、別々に管理していると見落とします。特別条項を発動できる回数にも年6回までという制約があります。これらを表計算で人手管理するのは限界があり、月の途中で残り時間を可視化できる仕組みがあるかどうかで、現場のコントロール精度が変わります。

原則:月45時間・年360時間 特別条項:年720時間・年6回まで 最終的な上限:単月100時間未満・平均80時間
時間外労働の上限は層状に重なる(公開情報をもとにした整理・目安)

柔軟な働き方の制度と労働時間

フレックスタイム制は始業・終業の時刻を従業員が決められる制度で、清算期間内の総労働時間で管理します。裁量労働制は、あらかじめ定めたみなし労働時間を働いたものとして扱う制度です。いずれも導入には労使協定や対象業務の要件があり、運用を誤ると本来支払うべき割増賃金の未払いにつながります。「制度を入れれば残業代が不要になる」という誤解は典型的な落とし穴です。制度設計の前提として、人事制度全体の整合を取る視点が欠かせません。

経営者が取るべき三つの行動

第一に、自社の36協定が最新の事業実態に合致しているかを確認すること。第二に、時間外・休日労働を合算した移動平均で常時モニタリングする体制を整えること。第三に、長時間労働が常態化している部署があれば、業務配分や人員体制から見直すことです。人手不足が根本原因なら、採用・外部人材の活用も選択肢になります。専門人材の確保は副業・兼業人材の活用サービスのような必要な時だけ確保する手段も検討に値します。組織全体の人材戦略は人的資本経営の開示はどう変わるかもあわせてご覧ください。

自社の状況別・労働時間管理の打ち手(モデルケース)

労働時間管理の打ち手は、自社がいまどの段階にあるかで変わります。近い状況を起点に、次の一手を決めてください。

人事・労務

タイプ別 おすすめ早見表

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タイプA:36協定の更新や事業場単位の管理に不安がある(拠点が増えた・初めての届出が近い)

おすすめはまず協定の現状点検から着手することです。土台である36協定が最新の事業実態に合っていなければ、その上の管理は機能しません。事業場ごとの届出漏れや限度時間の設定を点検し、不足があれば社会保険労務士と確認するところから始めると安全です。

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タイプB:残業時間を集計しているが、超過の予兆を事前に掴めていない(月末にまとめて確認している)

おすすめは時間外と休日労働を合算した移動平均で常時モニタリングする仕組みです。複数月平均80時間以下の基準は、ある月だけ抑えても前後の平均で超えると違反になります。月の途中で残り時間を可視化できる勤怠の仕組みを使うと、現場のコントロール精度が上がります。

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タイプC:フレックスや裁量労働など柔軟な制度を導入したい、または運用に不安がある

おすすめは制度の要件と割増賃金の扱いを先に整理することです。「制度を入れれば残業代が不要になる」という誤解は典型的な落とし穴です。対象業務や労使協定の要件を満たしているかを点検し、清算期間やみなし時間の扱いを就業規則と整合させてから運用に乗せるのが安全です。

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タイプD:特定の部署で長時間労働が常態化している(人手不足が根本にある)

おすすめは業務配分や人員体制からの見直しです。監視だけでは根本解決になりません。業務の偏りを是正し、人手不足が原因なら採用や外部人材の活用も選択肢になります。仕組みでの可視化と、体制面の手当てを両輪で進めると改善が続きます。

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共通する要点は、現場任せにせず可視化された情報を経営と現場で共有することです。複数の状況に当てはまる場合は、土台の点検から順に手をつけると無理なく進みます。

まとめ:管理は守りであり攻めでもある

労働時間管理は、コンプライアンスの守りであると同時に、健全な生産性と採用競争力を支える攻めの基盤でもあります。経営者が仕組みを理解し、現場に可視化された情報を渡すことで、過重労働を未然に防げます。まずは自社の協定と監視体制の現状を点検することから始めてみてください。

よくある質問

Q. 36協定を結べば残業に上限はなくなりますか。

A. いいえ。36協定を結んでも、原則は月45時間・年360時間という限度があります。特別条項を用いる場合でも単月100時間未満、複数月平均80時間以下という歯止めがかかります。

Q. 中小企業も上限規制の対象ですか。

A. 上限規制は中小企業でも2020年4月から適用され、2026年現在は一部例外を除くすべての企業が対象です。「中小だから関係ない」という認識は通用しません。

Q. 複数月平均の管理で気をつける点は何ですか。

A. ある月だけ抑えても、前後の月との平均で基準を超えると違反になります。単月の数字だけで判断せず、時間外と休日労働を合算した移動平均で常時モニタリングする発想が必要です。

次に読む

労働時間の管理は、勤怠の仕組みや就業規則と一体で整えると守りと攻めの両面で効きます。近いテーマから読み進めてみてください。

本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の事案への法的助言ではありません。労働時間制度や36協定、各種みなし労働制の適用要件は法改正により変動します。自社の制度設計や就業規則の改定にあたっては、社会保険労務士・弁護士などの専門家に相談し、所管省庁の最新の公表情報をご確認ください。

本記事は2026年7月時点の情報に基づいています。本記事は biz-trend編集部(株式会社弥)が編集しています。制度・料金・金融関連の数値は変動する可能性があるため、実行判断の前に一次ソースをご確認ください。編集方針・広告開示ポリシーはプライバシーポリシーをご参照ください。

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