月給制の中堅企業で勤怠管理を Excel と紙のタイムカードで回していると、1 人あたり月 15〜30 分の集計工数が固定費として乗る。社員 30 名なら月 7.5〜15 時間、年商 3〜10 億円規模の経営者にとって労務マネージャー 1 名分の稼働を圧迫する負担だ。
2026 年度は最低賃金の改定と賃上げ促進税制の延長が重なり、36 協定アラートと残業実態の可視化が法令対応の前提になる。KING OF TIME、ジョブカン勤怠管理、freee 人事労務、マネーフォワードクラウド勤怠の 4 サービスは、いずれも 1 人あたり月額 200〜400 円帯で導入できる主力プレイヤーだ。
本稿では 料金・労務リスク検知・給与計算連携・スマホ打刻 UX の 4 軸で経営者視点の選び方を整理する。読了 4 分で、自社規模に最適な勤怠 SaaS を判断できる状態を目指す。
勤怠 SaaS 4 社の 1 人あたり月額(税抜)
出典:各社公式料金ページ 2026 年 5 月時点(KING OF TIME / ジョブカン / マネーフォワード / freee)
スペック・料金・特徴を一目で比較
まず 4 社の主要スペックを横並びで整理する。料金は税抜・2026 年 5 月時点の公式情報による。
| 項目 | KING OF TIME | ジョブカン | freee人事労務 | MF勤怠 |
|---|---|---|---|---|
| 料金 | 300円/人 | 200〜500円/人 | 1,500円〜(5名) | 5名以下は基本料、6名〜300円/人 |
| 最低料金 | なし | 2,000円/月 | 1,500円/月 | 基本料に含む |
| 初期費用 | 無料 | 無料 | 無料 | 無料 |
| 強み | 打刻機能の豊富さ | 機能単位選択 | 給与計算一体 | 会計連携 |
KING OF TIME は 1 人あたり月額 300 円(税抜)で初期費用無料、契約期間や最低人数の縛りもない(出典:KING OF TIME 公式 2026 年 5 月時点)。料金体系がもっとも単純で、社員数の増減が読みにくい成長企業向けの構造だ。
ジョブカン勤怠管理は 1 機能 200 円/人/月から、出勤・シフト・休暇・工数の 4 機能フルで 500 円/人/月、最低料金は 2,000 円/月となる(出典:ジョブカン公式 2026 年 5 月時点)。必要な機能だけ選べる柔軟性が特徴。
経営者の関心軸 × 適合サービス
| 関心軸 | 最適サービス | 理由 |
|---|---|---|
| 打刻 UX 重視 | KING OF TIME | 多打刻方式、シェア最大級 |
| 機能を絞ってコスト最小化 | ジョブカン | 1 機能 200 円から段階導入 |
| 給与計算まで一体化 | freee 人事労務 | 勤怠→給与をワンストップ |
| 会計と一体運用 | MFクラウド勤怠 | MF 会計とのデータ連携 |
各社公式情報 2026 年 5 月時点
KING OF TIME・ジョブカンを選ぶべき経営者像
「勤怠管理に特化、給与計算は既存システムや顧問税理士に任せる」スタンスの経営者は、KING OF TIME かジョブカンの 2 択になる。両者は勤怠単機能としての完成度が高く、給与計算 SaaS との API 連携も整備されている。
KING OF TIME は 1 人 300 円/月(税抜)で全機能利用可能、契約期間や最低人数の制約がない(出典:KING OF TIME 公式)。社員 10 名でも 100 名でも単価が変わらない設計のため、急成長フェーズで人員計画が読みにくい企業ほど予算組みが楽になる。
ジョブカン勤怠管理は、4 機能(出勤管理・シフト管理・休暇申請・工数管理)から必要なものを 200 円/人/月単位で選び、4 機能フルで 500 円/人/月、最低料金 2,000 円/月の体系(出典:ジョブカン公式)。シフト勤務がない月給制中心の企業なら出勤管理のみで 200 円に抑えられる。
[point title=”経営者の判断軸”]
社員 20 名で月給制中心なら、ジョブカン出勤管理単機能(200 円 × 20 名 = 4,000 円/月)が最安。打刻方式の多様性が必要なら KING OF TIME を選ぶ。
[/point]
KING OF TIME 賛否対比
強み
- 1 人 300 円で全機能
- 打刻方式が豊富(指静脈・IC カード等)
- 契約期間・最低人数なし
弱み
- 給与計算は別 SaaS が必要
- 機能が多く初期設定の学習コストあり
各社公式情報の整理(2026 年 5 月時点)
freee 人事労務・MFクラウド勤怠を選ぶべき経営者像
会計 SaaS をすでに freee またはマネーフォワードで運用しているなら、勤怠も同一ベンダーで揃える発想が合理的になる。勤怠データ→給与→仕訳→会計のデータ連結が標準でつながり、データ二重入力と CSV 連携の保守工数が消える。
freee 人事労務の勤怠管理プランは月額 1,500 円(5 名分含む)、1 名追加 300 円/月(出典:freee 人事労務 料金ページ 2026 年 5 月時点)。給与計算まで含めるならミニマムプランが月額 2,000 円(5 名分)で 1 名追加 400 円/月になる。社員 20 名なら勤怠単独で 6,000 円/月、勤怠+給与で 8,000 円/月の試算だ。
マネーフォワードクラウド勤怠は 5 名以下なら基本料金のみで利用可、6 名以上は 300 円/人/月(税抜)の従量課金になる(出典:マネーフォワード公式 FAQ)。5 名以下のマイクロ法人なら勤怠機能を実質ゼロ円で運用できる稀有な価格帯。
[chat face=”run” name=”経理マネージャー”]
うちは社員 30 名で freee 会計を使ってる。勤怠も freee に揃えるべき?
[/chat]
会計とベンダーを揃える価値は 給与計算→仕訳の自動連携 に集約される。経理担当者の月次処理時間が短縮されるかが判断軸であり、社員 30 名規模なら年間 30〜60 時間の削減につながる試算が成り立つ(各社公式の連携機能説明 2026 年 5 月時点に基づく試算)。
freee 人事労務 賛否対比
強み
- 勤怠→給与→会計の一体運用
- 5 名以下なら 1,500 円から
- 労務手続きも UI で完結
弱み
- 1 人あたり単価は KOT より高め
- 会計が他社だとメリット限定的
freee 人事労務 料金ページの整理(2026 年 5 月時点)
公開レビュー・利用実態の分析
4 社はいずれも公式サイトで料金体系を明示しており、価格の透明性は高い。KING OF TIME は「契約期間/最低人数なし」を公式に明記しており、解約リスクを意識する中堅企業にとって安心材料だ(出典:KING OF TIME 公式 2026 年 5 月時点)。
ジョブカンの「機能単位課金」は、シフト管理が不要な月給制企業にとって 1 人あたり 200 円まで圧縮できる点が経営インパクトにつながる(出典:ジョブカン公式料金)。逆に、シフト+勤怠+休暇+工数の 4 機能フル運用だと 500 円となり、KING OF TIME(300 円)を超える。
freee 人事労務とマネーフォワードクラウド勤怠は、会計 SaaS との連携を前提とすると料金以外の価値が大きい。マネーフォワードクラウド勤怠は 5 名以下なら基本料金のみという独自の優位性があり(出典:マネーフォワード公式 FAQ)、創業期から既存 MF 会計ユーザーまで幅広く適合する。
経営判断としての結論
4 社の選び方は「会計 SaaS との一体運用を取るか、勤怠特化の安さを取るか」で大きく分岐する。以下のフローで判断するのが最短だ。
勤怠 SaaS 選定フロー
- Q1. freee or MF 会計を使用中?
- → YES:同ベンダーの勤怠を選択(freee 人事労務 / MF 勤怠)
- Q2. 社員数 5 名以下?
- → YES:MF 勤怠が最安(基本料のみ、※社員 5 名以下時に限る)
- Q3. シフト勤務あり?
- → NO:ジョブカン出勤単機能 200 円/人
- → YES:KING OF TIME 300 円/人で全機能
各社公式料金 2026 年 5 月時点に基づく判断フロー
経営者として最も避けるべきは 「とりあえず会計と同じベンダーで全部揃える」 という思考停止だ。社員 50 名超で給与計算を顧問社労士に外注している企業なら、勤怠は KING OF TIME 単独で運用し、CSV 連携で社労士に渡す方が月額コストは安く済む。
勤怠 SaaS 導入時に見落とされる「経費・会計の連動設計」
勤怠 SaaS を導入しても、経費精算と会計が分断されていると、給与振込・経費精算・会計仕訳の 3 系統で月次データの照合作業が残る。社員 30 名規模では、この照合作業だけで経理担当者の月 10 時間が消える試算になる(各社公式機能比較 2026 年 5 月時点に基づく試算)。
経営者シリーズとして、勤怠導入と同時に 経費精算 SaaS と決済(法人カード) の設計も見直すと、バックオフィス全体の月次処理時間が一段下がる。とくに海外 SaaS 月額決済が増えている企業は、法人カード×経費精算×会計の三層運用が標準化しつつある。
- 経費精算 SaaS 比較記事を読む(マネーフォワード経費・楽楽精算・freee 経費精算)
- 法人カード×経費精算×クラウド会計 一体運用設計 2026 を読む
- freee 会計 vs マネーフォワードクラウド会計 比較を読む
勤怠→給与→経費→会計をベンダー単位で揃えるか、機能単位で最適化するか。経営判断は年商規模と既存システム資産で決まる。
最低賃金改定と賃上げ促進税制の延長が重なる 2026 年度は、勤怠 SaaS が「あれば便利」から「経営リスク管理の前提インフラ」に変わる節目になる。社員 5 名以下なら MF 勤怠、機能を絞るならジョブカン、打刻 UX 重視なら KING OF TIME、給与計算まで一体化なら freee 人事労務、というのが現時点での最適配置だ。

