SaaS を 20-30 種類抱える中堅企業では、退職者のアカウント残存や ID 横断管理の負荷が経営リスクになる。情報システム担当者 1-2 名で 100 名規模を支える体制では、SSO/IDaaS の選定ミスが年間数百万円の運用コスト差につながる。
2026 年現在、Cloudflare Zero Trust は 50 ユーザーまで無料、Okta は Starter Suite が $6/user/月、HENNGE One は国内 SaaS 連携で独自ポジションを確立(出典:Cloudflare 公式・Okta 公式、2026 年 5 月時点)。価格構造と機能設計が3社で大きく異なる。
さらに 2026 年は SaaS ID 統合の本格化フェーズに入った。Cloudflare は Vectrix 買収由来の CASB を Zero Trust に統合し、Okta は Starter Suite($6/user)から Essentials Suite($17/user)まで SSO・MFA・Lifecycle 自動化を階層的に揃え、HENNGE One は国内 SaaS 連携で差別化と、3 社それぞれが「アクセス制御 + ID + データ保護」を 1 つの基盤に束ねる動きを加速している(出典:Cloudflare 公式・Okta 公式、2026 年 5 月時点)。経営者にとっては「複数 SaaS を 1 つの統合基盤に寄せる」契機の年だ。
本稿では、年商規模・SaaS 利用本数・社員数別に 3 社の判断軸 を整理。読み終える 4 分で、自社が選ぶべきゼロトラスト基盤の方向性が定まる。
SaaS セキュリティ市場の基準値(2026 年 5 月時点)
出典:Cloudflare 公式料金ページ 2026/05
出典:Okta 公式 Pricing 2026/05
出典:Okta 公式 Pricing 2026/05
H2-1:スペック・料金・特徴を一目で比較
3 社の料金体系と適合層を俯瞰する。HENNGE One は公式料金が個別問い合わせ制(自治体向けで月額 300 円〜の参考記載あり、出典:HENNGE One 公式料金ページ、2026 年 5 月時点)である一方、Cloudflare と Okta は完全公開の従量課金制を採る。
| 項目 | HENNGE One | Cloudflare | Okta |
| 料金 | 個別見積 (自治体300円〜) | 50名無料 以降$7/月 | $6〜$17 /user/月 |
| 強み | 国内SaaS 連携の厚さ | ネットワーク 一体運用 | SaaS連携 世界最多 |
| 対象 | 国内中堅 大企業 | スタート アップ〜 | グローバル 企業 |
| 弱み | 料金不 透明 | 国内SaaS 連携薄 | UI英語 主体 |
料金の透明性で見ると Cloudflare と Okta は即比較可能だが、HENNGE One は導入規模により大きく変動するため、見積取得が前提となる。経営者として最初に判断すべきは「自社の SaaS 構成が国内偏重か、海外/混在か」である。
[point title=”経営者の最初の判断軸”]
SaaS 構成が Microsoft 365 + 国内 SaaS 中心なら HENNGE One、Google Workspace + 海外 SaaS 中心なら Okta、50 名以下 + 内製志向なら Cloudflare Zero Trust が起点。
[/point]
H2-2:Cloudflare Zero Trust を選ぶべき経営者像
Cloudflare Zero Trust は 50 ユーザーまで無料、それ以降は Pay-as-you-go で $7/user/月(出典:Cloudflare Zero Trust Plans、2026 年 5 月時点)。スタートアップ〜社員 50 名以下の中小企業にとって、初期コストゼロでアクセス制御・WARP・ブラウザ分離まで揃う構造は経営判断としても合理的だ。
想定シナリオは「創業 3 年、社員 30 名、年商 5 億円、リモートワーク中心、Google Workspace 利用」というプロファイル。Cloudflare のグローバル CDN/エッジネットワークを既にフロントで使っているなら、Zero Trust への統合運用は構造的に有利になる。
[chat face=”run” name=”経営者”]
うちは30名規模で、Google Workspace と Slack 中心。50名超えるまで無料というのは魅力的だけど、本当に運用に耐えるの?
[/chat]
運用負荷は「情報システム担当者がネットワーク知識を持つか」で大きく変わる。Cloudflare はネットワーク事業者由来の UI/UX で、DNS・WAF・Access が一体化している。情シス担当が SaaS 中心のキャリアだと学習コストは中〜高となる。
H2-3:Okta を選ぶべき経営者像
Okta は Starter Suite $6/user/月、Essentials Suite $17/user/月(出典:Okta Pricing、2026 年 5 月時点)。SaaS 連携数の多さで世界トップクラスを公式に標榜しており、海外 SaaS を 30 種類以上利用するグローバル中堅以上に向く。
想定シナリオは「社員 150 名、年商 30 億円、海外拠点 2 つ、Salesforce・Workday・Slack・Zoom・GitHub 等を全社利用」というケース。100 名で Starter Suite を選択すると月額 $600、年間で約 100 万円規模(円換算は為替変動あり、2026 年 5 月時点の各社公式料金に基づく試算)。Essentials Suite なら年間約 300 万円規模で、Lifecycle Management(入退社自動化)まで含まれる。
H2-4:公開レビュー・利用実態の分析
HENNGE One は国内導入実績を公式サイトで多数掲載(出典:HENNGE 公式、2026 年 5 月時点)。Microsoft 365 統合運用と国内 SaaS 連携で支持を集める。料金が個別問い合わせ制のため、検討段階で 2-4 週間の見積プロセスを織り込む必要がある。
Cloudflare Zero Trust の利用実態は、無料枠(50 ユーザー)を試験運用で活用する企業が中堅層でも多い構造が観察される(出典:Cloudflare Plans、2026 年 5 月時点)。本格運用に進む際は WARP クライアント配布・SCIM 連携の検証が論点。
Okta は SaaS 連携テンプレート(Okta Integration Network)の網羅性が選定理由として挙がる。Essentials Suite の $17/user/月で Lifecycle Management・MFA・Adaptive MFA まで含む構成は、グローバル中堅以上の標準解として観察される(出典:Okta Pricing、2026 年 5 月時点)。
3 社の賛否を経営者視点で対比
導入容易性で選ぶなら
- Cloudflare:無料枠で即試行可
- HENNGE:国内サポートが手厚い
機能網羅性で選ぶなら
- Okta:SaaS 連携テンプレ最多
- Essentials Suite で Lifecycle まで包含
出典:各社公式情報 2026 年 5 月時点(Cloudflare/Okta/HENNGE 公式)による整理。
H2-5:経営判断としての結論
ゼロトラスト SaaS 選定フロー
3 社の料金構造(2026 年 5 月時点・各社公式情報による)を経営判断軸で整理した決定木。
経営者として最終的に判断すべきは、「セキュリティ投資の年間総額が、想定インシデント被害額の何分の 1 か」である。100 名規模で Okta Essentials Suite を選んだ場合、年間約 300 万円規模(円換算は為替変動あり、2026 年 5 月時点の試算)。情報漏洩 1 件の平均対応コストが数千万円規模になる現実と比べれば、TCO の妥当性は明確だ。
H2-6:SaaS セキュリティ導入時の経費管理:見落とされがちな「決済の罠」
3 社のうち Cloudflare・Okta は USD 建て、HENNGE One は JPY 建てが基本。100 名規模で Okta Starter Suite($6/user/月)を契約すると月額 $600、為替手数料 2-3% が乗れば年間 6-9 万円の追加コスト(2026 年 5 月時点の各社公式料金に基づく試算)。海外 SaaS 決済に強い法人カードと経費精算 SaaS の一体運用が経営合理性の鍵となる。
具体的には、SaaS 決済の集約に強い法人カード(UPSIDER 等)と、明細自動連携の経費精算 SaaS(マネーフォワードクラウド経費・楽楽精算等)、さらに仕訳まで含むクラウド会計(freee 会計・マネーフォワード会計)を組み合わせる設計が定石だ。
関連内部リンク:
- 経費精算 SaaS 比較 2026(マネーフォワード・楽楽精算・freee)
- freee 会計 vs マネーフォワード会計 経営者の選び方
- スタートアップ向け法人カード(UPSIDER・バクラク・freee カード)
SaaS セキュリティ基盤の選定と、その決済・経費管理基盤の選定は、本来は同じテーブルで議論すべき経営判断だ。情シス・経理・経営者の3者が同席する見直しサイクルを四半期に 1 度設けることで、不要な為替手数料や経費精算工数を削減できる。アフィリンク:UPSIDER / マネーフォワードクラウド経費 / freee 会計。
ゼロトラスト SaaS は「50 名以下なら Cloudflare、海外 SaaS 中心なら Okta、国内 SaaS 中心なら HENNGE One」が起点(2026 年 5 月時点の各社公式情報による)。経営者として次に取るべき一歩は、SaaS 利用本数の棚卸しと、決済・経費管理基盤の同時見直しだ。